大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和36年(ワ)6620号 判決

判   決

第一、当事者

原告

中野恵司

訴訟代理人弁護士

奥一夫

被告

青山住宅組合

代表者

蛯原春吉

訟代理人弁護士

高瀬迪

第二、主文

一、原告の請求を棄却する。

二、原告は訴訟費用を支払え。

第三、事実

一、請求の趣旨

訴外森貝光子及び同万年理二は、被告組合の組合員でないこと及び被告組合の財産について共有持分権のないことを確認する。

二、請求の趣旨に対する答弁

請求棄却

三、請求原因

1、被告組合は、昭和二六年五月一日、組合員一七名によつて結成されたもので、代表者は蛯原春吉である。

2、訴外森貝及び同万年は被組合の組合員ではなく、又その組合財産について共有持分権を有しない。

四、請求原因に対する認否

1、第1項を認める。但し、結成された日が昭和二六年五月一日であることは否認する。

2、第2項を否認する。

三、確認の利益の基礎をなす事実

1、原告は被告組合の組合員である。

2、被告組合の組合員一七名は、東京都より土地(東京都港区赤坂青山南町一丁目五五番地の一二七所在六二五坪一合九勺)を買受け、これを被告組合に出資し、その土地上にそれぞれ住宅を建設することとした。

3、そして、全組合員の総会において、組合員全員の出資により、必要な組合事業として、土留工事その他を行うことが決議された。

4、ところが、前記訴外人等が被告組合員のように振舞い且つ被告組合代表者蛯原がこれを組合員として処遇している。

5、そのため、組合内部に混乱が生じ、第3項の決議は実行不能となり、その結果原告の家屋は少し傾き、その復旧のための損害を蒙つている。

6、同様の理由により東京都よりの所有権移転登記も未了であり、種々の組合業務に支障を来している。

7、そこで、右訴外人等が組合員でないことが確認されるときは、前記工事も着手できることになる訳であるから、原告は本訴請求について確認の利益を有する。

六、確認の利益の基礎をなす事実に対する認否

1、第1項を認める。

2、第2項を否認する。

3、第3項を否認する。

4、第4項を認める。

5、第5項を否認する。

6、第6項中、登記未了の点を認めその余を否認する。

7、原告は、如何なる利益又は必要に基いて本訴請求をなすのか具体的権利又は法律関係の主張が不明確であるから、本訴は不適法である。

第四、理由

原告は、本訴請求をなすについて確認の利益を有しない。即ち、本訴請求は、請求の趣旨から判断すると、原告の権利又は原被告間の法律関係を確認の対象とするものではなく、前記訴外人両名対被告という他人間の権利関係を確認の対象とするものである。このような場合においては、他人間の法律関係を原被告間において現在確認することについて、原告は法律上の利益又は必要のあることを明確に主張しなければならない。本訴においては、請求の趣旨通りの判決をなすことによつて、原告が法律上(事実上の利益は別として)どのような利益を受けるのか不明確であり、原告の主張する確認の利益の基礎をなす事実が全部認定されたとしても、なおこの点は明らかとはならない。

なお、訴訟費用については民訴法第八九条適用。

昭和三七年七月一九日

東京地方裁判所民事第八部

裁判長判事 長谷部茂吉

判事補 武 藤 春 光

判事補 宍 戸 達 徳

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!